残業代請求のご相談

名古屋駅ヒラソル法律事務所では、残業代について法的支援を求める際の弁護活動に力を入れています。

残業代の未払いというのは、古くて新しい問題といえます。残業代というのは「賃金」そのものであり、他方、残業代が発生しないための法制度もあるため、検討した結果、残業代は発生しないというケースもあるでしょう。

もっとも、令和の時代、物価は上昇しつつも、日本では、それに比例する賃金の増額は起きておらず、実質賃金は減少が続いているといわれています。そのため、せめて法律上発生している正確な賃金の回収が正義に適うといえます。
また、労働契約法に基づく請求は、民事上の請求であり互譲に馴染みやすいものの、生きるために必要な賃金について簡単に譲歩するべきであるのか、価値判断が伴うといえるでしょう。

私たちヒラソルの社会的使命は、そのお手伝いをすることです。

労働者は、①賃金、②労働時間が重要な労働条件であり、残業代請求は、個別的労働紛争として、最も重要な問題といえます。

まずは、労基法の労働時間・休憩・休日に関する原則を理解し、残業代の計算方法を正確に計算することが必要です。その過程では、「管理職」「裁量労働制」「事業場外労働」など法制度の正確の理解が重要であり、法律家の基準で計算を引きなおすことが大事です。

また、みなし時間制の対象業務ではないのに、みなし時間制を適用したり、年俸制を口実に実労働時間に基づく残業代の支払いを拒んだりすることは賃金の不払いといわざるを得ず、正義に反しているといえるでしょう。

1. 残業代の理論的計算

残業(法内残業・法外残業)、休日労働、法定外休日労働に対しては、その未払賃金を支払わなくてはなりません。もっとも、そもそも、残業部分の基礎賃金すら支払われていない場合もあれば、割増部分のみ支払われていないということもあります。
一例を挙げれば、割増部分について法外残業に対しては25パーセント以上の、休日労働に対しては35パーセント以上の割増賃金を請求できます。法定外休日の場合でも、週法定時間を越えていれば25パーセント以上の割増賃金の請求権があります。
これに対して、使用者側から出される典型的な残業代を減じる抗弁について、①管理監督者であること、②手待時間に当たらないか、③残業命令が出ているか―などを理論的に整理します。

2.残業代に必要不可欠な立証について

残業代請求において、労働時間の主張立証責任は原則として労働者が負うとされているので、請求の裏付けは労働者がしなくてはいけません。したがって、労働時間管理記録、業務記録、就業規則の確保が必要になることになります。
使用者側は、上記のように、民事裁判では、労働時間の立証責任を負っていないので、虚偽の管理記録が作成されるという可能性もあります。このため、多くは、会社側から提出される基本的書証であるタイムカードないし会社の主張する労働時間のデータが現実よりも過少に記載された虚偽内容の場合は、これを覆すための実質的な証拠の収集を試みることになることが多いと思います。
残業代の算定にあたり、最も有力な証拠になるのは、タイムカード、IDカードとされています。もっとも、リモート・ワークも生じるようになってから、パソコンのログイン・ログオフも重要視されています。
もっとも、サービス残業をする場合、いったんタイムカードを切ってから残業するような場合が挙げられます。このため、労働者はタイムカードに打刻された時間数をもって割増賃金を請求できるものとされていますから、信用性を争う場合は、タイムカードの設置目的や運用状況を丁寧に立証する必要があります。
実質的な労働時間を見る場合、タイムカード以外の証拠によって、時間外労働の実積を認定されることも可能とされています。このほか、労働者が出退社時ごとにパソコンソフトを立ち上げ出退社時刻を記録した時刻、スイカ利用明細の時刻を用いる場合があります。

3.示談交渉を法と証拠に基づき適正に行うこと

示談交渉をするには、いくつかポイントがあります。そもそも、賃金の不払いは、労基法違反であり(労基法24条)、刑罰(罰金30万円以下)もあるということです。 すなわち、簡単に互譲するべき問題であるのか、きちんと労働法の精神を理解している弁護士に示談交渉を委ねることが大切でしょう。相手に伝われば、会社に送付する内容証明郵便でも、ファックスでも方法はそれほど大きな問題ではありません。

つまり、民事弁護士の場合は、和解を考えると、例えば、120万円の残業代請求の例えば7割ないし8割で和解しましょう、となるかもしれません。しかし、労働債権は、労働基準法が労働者に対し特別に保護を与えているのです。したがって、対等な市民社会のプレイヤー同士の話合いとはいえないという視点を持つことが大切です。

したがって、労働法の精神や罰則に照らした示談交渉をしてゆくのが必要であり、これは慰謝料請求の調整や企業の特許権の損害の調整などといった問題とは毛色が異なる問題ということです。

加えて、労働法の示談において、訴訟や労働審判を避けるためには、相手方に証拠開示をすることもめずらしくありません。したがって、手持ち証拠の整理が必要ですし、手持ち証拠がなくブラック・メールを会社に送っても、多くの会社には、社会保険労務士や彼らから紹介を受けた使用者側の弁護士につながります。

ですから、会社に就くであろう使用者側弁護士を説得に足る客観的証拠に基づいて法と証拠に基づくことが大事です。
民事裁判や労働審判は、民事訴訟法に基づくものですから、証明の程度は証拠の優越です。したがって、証拠の優越を確保していることを示しつつ、交渉をしていくことが大切です。

加えて、労働訴訟というのは、「賃金制度の欠陥」に由来していることが多く、集団訴訟に結び付く可能性もあるため、個別労働紛争解決に徹して適正に解決を図っていくことも必要でしょう。このように、使用者側は、敗訴については、その影響力ないし波及力のリスクがあるものの、弁護士による紛争解決は、個別労働紛争解決ということになります。

なお、民事訴訟は、金銭賠償を求めることが目的であり、復讐などを目的とすることはできません。冷静かつ沈着に、そして理論的に主張を展開することこそ、示談交渉で話しをまとめるポイントとなるといえるのです。

4.労働審判について

比較的おすすめな制度に「労働審判制度」があります。労働審判制度は、裁判官と労使の専門委員により事件の審理を行い、調停を行い、調停が成立しない場合は、労働審判を出す裁判制度です。

家事調停とは異なり、労働審判は、3回以内の期日で審理を終わらせるというもので、3カ月程度を目安に、労働紛争を解決する可能性も秘めているといえます。

3回以内の期日で紛争が解決できた場合、当事者の裁判所への出頭の負担もそれほど重たくなく、通常の労働訴訟のように1年近く裁判しなくても良いため、上手く使っていくことも大事だといえます。

実際のプラクティスでは、3回といっても、1回目で事実を調べ、2回目以降は和解の調整が中心になってくるといって良いでしょう。このように、労働審判では、証拠調べに費やす期日がだいたい1回のみであるため、複雑な争点がある残業代のケースには向いていないということも踏まえて方法を考えます。

ヒラソルでは、労働審判制度という簡易迅速なラフ・ジャスティスの制度も用いて紛争の実体的解決に試みます。

もっとも、労働審判制度にも欠陥はあり、残業代の場合、労働審判では付加金の支払いを命じられることはありません。また、労働時間の立証手段が不十分な場合、宣誓をした上での証人尋問が必要になることがありますが、労働審判では経験上、証人尋問が行われることはありません。したがって、労働審判の場合、労働者側は一定の譲歩を求められることが多く、早い解決を目指すか、時間がかかってもある程度は高い解決水準を目指すかという点でも、手続選択が異なってきます。

5.労働訴訟について

労働訴訟は、争点が多く複雑な場合、労働審判による解決に向かないため、一般の民事通常訴訟(労働訴訟)の中で、賃金請求をするということになります。実際、労働審判では、裁判官が複雑と判断した場合、24条終了という制度があり、通常訴訟で行うようにいわれる可能性があります。
請求原因事実には、1つは、労働時間および労働時間中の労働実態に関する主張、2つは割増賃金の算定の基礎単価の算出に関する主張が考えられます。

残業代請求訴訟においては、労働時間の存在について主張立証する責任は原則として労働者にあるといわれています。

通常訴訟は、権利義務関係の判定を通じて、紛争の終局的な解決を図る裁判制度です。本訴においては、労働事件であることの特殊性はなく、労使間の紛争であれば、民事訴訟法に基づき裁判が行われることになります。

通常訴訟の進み方は、一般の民事訴訟と異なるところはありません。本訴は、原告が訴状を裁判所に提出することにより始まります。そして、被告が請求の趣旨に対する答弁や、請求の原因に対する認否・反論を記載した答弁書を提出します。

既に述べたように、解雇や残業代は法的論点が多いため、原告、被告がその後準備書面を提出して主張を補充していくことになります。また、書証(書類による証拠)も準備書面を提出するごとに、随時提出していくことになります。

最終的に、裁判官が争点を整理し、争点が出揃った段階において証人尋問を口頭弁論で開催することになっています。証人尋問後、和解の試みがあり得ますし、労働事件では、最終準備書面を提出するために期日が指定されることが多いといわれています。
しかしながら、労働者は、労働時間を主張立証するために十分な資料を持っていません。そこで、争いが大きい事件では、使用者の時間管理の方法と異なる手法で労働時間を把握し、概括的な主張を行うことも考えられます。

このほか、使用者側からは、①残業命令を出していない、②残業した事実がない、③管理監督者に該当する、④固定残業代制度を導入している、⑤事業場外労働のみなし労働時間制が採用されている、⑥裁量労働制のみなし労働時間制、変形労働時間制が採用されている―といった多くの法律上の抗弁が考えられます。
このように、労働訴訟は争点が多いため、争いが大きくなる場合は、労働審判を選択するのは適切ではなく、民事訴訟(労働訴訟)を行うことになります。

6.残業代請求のご相談

名古屋駅ヒラソル法律事務所では、労働時間および労働時間中の労働実態に関する主張や割増賃金の算定の基礎単価の算出に関する主張に精通しているヒラソルに残業代の請求をご依頼ください。

以上

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